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事業仕分け 「総合型地域スポーツクラブ育成推進事業」 「廃止」判定の意味

去る6月20日に文部科学省内で、事業仕分けの省庁版、行政事業レビューが開催され、「総合型地域スポーツクラブ育成推進事業」が「廃止」判定を受けました。私は傍聴席で傍聴しておりましたので、この中で行われていた議論を整理し、皆様にお伝えしたいと思います。(ユースト中継もされていたので、見た方もいるかもしれません。)

まず、そもそも論として、「総合型地域スポーツクラブ育成推進事業」とは何かを説明します。

当日、配られた資料から抜粋します。(文部科学省 行政事業レビュー 公開プロセス)
※資料はこちらからDL出来ます。
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/other/detail/__icsFiles/afieldfile/2012/06/19/1322352_2.pdf

【事業の目的】

スポーツ基本計画などにおいて、「総合型クラブを中心とする地域クラブがスポーツを通じて「新しい公共」を担い、コミュニティーの核となれるよう、各市町村に少なくとも1つは総合型クラブが育成れることを目指す。」とされていることから、地域住民が主体的に運営し、子どもから大人まで誰もが参画できる地域密着型のスポーツ活動の場である「総合型地域スポーツクラブ」の育成を推進する。

【事業内容及び予算額】

全体予算 136,676千円(平成24年度)

(1)総合型クラブ育成推進事業         136,149千円
ア 総合型クラブ育成員会等の開催        13,077千円
イ 総合型クラブ育成アドバイザーの養成・派遣  110,513千円
ウ 総合型クラブ育成情報提供事業の実施  12,559千円

(2)実施状況調査の実施  527千円

※ 文科省はこの事業を(公財)日本体育協会に「公募・委託」している

上記予算を見て分かる通り、この事業では、クラブには直接的にお金はおりていません。この予算の使われ方はクラブ育成アドバイザーの人件費がメインとなります。以前は、税金が直接クラブに渡っていましたが、予算カットされ、現状は、totoがその役目を負っています。

それでは、「クラブ育成アドバイザー」とはどんな仕事をするのか。上記の資料から抜粋すると

未育成市町村と創設準備中の総合型クラブへの派遣

となっていますので、あくまでも総合型の「数」を増やすための人材であり、そこに投下されている予算という事になります。それでは、この予算を使ってどれほど、総合型が増えているのか?22年度は209、23年度は127、24年度の目標は127となっており、過去3年間を見ると、1クラブ新設するのに170万円の予算(クラブアドバイザーの人件費)が投じられたことになります。現在は、全国で、3000を超えるクラブがあります。

この予算の有効性を判断する数値として、もう一個使われるのが、全市町村数の中で、何パーセントの市町村で1個はクラブがあるか、という数値です。なぜかというと、事業の目的の中で「各市町村に少なくとも1つは総合型クラブが育成れることを目指す」とうたっているからです。この数値は、23年度75.4%となっています。

ここまでが、大体の前置きです。ここから事業仕分けがスタートしました。

【目標設定】
そもそも、「各市町村に少なくとも1つ」という目標設定が正しいのか?
文科 → 必ずしも正しいとは思わない。1中学校区に1つというのも1つのアイディアではないか。

【総合型を立ち上げる上での問題点】
・施設の確保
・地域の利害関係者との折衝

識者及び仕分け人から → 果たして、これらの問題は、クラブアドバイザーの力で何とかなるものなのだろうか?

【アドバイザーの配置基準】
アドバイザーをどこにどれだけ配置するのかの明確な基準がない。設立準備中のクラブがあるにもかかわらず、クラブアドバイザーがいない県なども存在している。

【他の事業との整合性】
文科省「学校・家庭・地域の連携による教育支援活動促進事業」や厚労省「地域子育て支援拠点事業(旧学童保育など)」などの予算とうまく連携は取れないものか。

【文科省の矛盾】
クラブの活動場所として有力視されている、学校施設。しかし、そこを貸すか貸さないかは、校長の判断。その校長の判断をコントロール出来るのは本来、文科省のはず。その、自分たちでコントロールできるはずの交渉を、わざわざ税金で雇っているアドバイザーにさせるのはおかしい。社会体育施設としての学校施設の議論を文科省内でまずすべき。

【結論:廃止】
本事業については、「廃止」4名との結果を踏まえ、「廃止」とし、以下の4点のコメントを付すこととする。

① 本日の議論で確認された総合型地域スポーツクラブの意義や必要性を踏まえ、各スポーツクラブが対象とすべき地域や人口の適正な規模にも留意しながら、より効率的・効果的な支援策を検討すべき。

② 総合型地域スポーツクラブの活動の場となる学校施設等の利用をしやすくする方策について検討すべき。

③ 地域再生を目的とする他の事業との関係を検証し、より効率的・効果的な事業の在り方を検討すべき。

④ 様々な種類のスポーツを行うという総合型地域スポーツクラブの趣旨を実現する方策を検討すべき。

評価者のコメントの詳細:
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/other/detail/__icsFiles/afieldfile/2012/06/20/1322354_2.pdf

以上が、大体の議論でした。

全体的に、総合型が必要か否か、という議論は全くありませんでした。総合型を広めて行くにはどうすべきかという前提の元、その中で、現在のアドバイザー制度が良いのかどうかという議論でした。アドバイザーそのものへの批判もなかったです。ただし、施設をどうするのか、部活との兼ね合いをどうするのか、他の「地域と関わる事業」ともっと効率的に出来ないか(つまり予算の有効活用)、それを文科省さん、もっと大きな視野に立ってもう一度考えなさい、という宿題を出されたという感じです。

文科省の方の発言で気になった点も幾つか。

アドバイザーは「地域の方の熱意と善意をサポートしている」という発言。確かにその通りかもしれません。でも、この総合型は「地域の方の熱意と善意」だけでは、発展生成しないのはこの10年見てくれば分かる事です。

そして、「新しい公共」つまり、住民が主体となって地域や町を作っていく、という事を前提に総合型を作っていく必要があるというご意見。確かにその通りです。お上から作らされるのではなく、自分たちの手で作る必要があります。ただし、和田中、元校長の藤原氏が指摘されたように、総合型地域スポーツクラブ=新しい仕組みづくりですから、その新しい仕組み作りや方向性を示すことを文科省がやらずに、地域の人頑張ってね、では厳しすぎると思いました。

最後に、この問題で、今回ほとんど議論されなかった点で幾つか気になっている点を書きたいと思います。

この事業を日本体育協会に委託するのが本当に一番良い選択肢なのかどうか。(この点は、議論上は出てきませんでしたが、上記の評価者のコメントには出ています。)

そして、最後に、一番重要な事です。クラブを作った後、どうするか?という問題です。今回議論された、クラブアドバイザーは、あくまでも設立のお手伝いをするために存在しています。(実際現場では、アドバイザーは設立後も奮闘していますが、そこは実は任務外なのです。)3,000以上あるクラブで、実際にうまく運営しているところがいくつあるのでしょうか?もちろん、作る方法を考えて、数を増やして行くことも重要ですが、それを発展生成させていくためにはどうするか、という議論を進めて行かなければなりません。

10年近くかけて、一応3,000以上のクラブが出来て、作るためのクラブアドバイザーの役割は一旦終わったのかもしれません。そういう意味では、今回のこの事業の「廃止」という判定はある程度仕方ないと思います。

今後、国(文科省なのかどうかも議論しなければならないところですが)に求められるのは、数より質、つまり、地域や学校と連携しながら、総合型の運営にやる気のある若い人たちが夢を持てるような持続可能な総合型のモデルを示し、作っていく支援をすることではないでしょうか。

今回の宿題を元に、次の予算編成までに、新たな総合型の形を出してきてくれることを期待します。

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テーマ:スポーツビジネス&スポーツ文化 - ジャンル:スポーツ

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